Myanmar Soldiers Defect to Join Resistance ミャンマー国軍から脱走する兵士たち

今回はフランスのメディアの記事を紹介します。以下、日本語訳です。
Let us share an article from the French media, FRANCE24.
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「人々を守るために入隊したのに」

ミャンマー国軍から、推定2000人の兵士が亡命しているという。35万人の兵士が残っているとはいえ、脱走者が出れば軍部の支配力が弱まる可能性がある。

元ミャンマー国軍の兵士Yey Int Thweさん(*仮名)は、7月25日を「すべてが変わった」日として記憶している。30歳の彼は、10人ほどの兵士のグループの一員として、ミャンマーの首都ヤンゴン南東部の家に押し入っていた。彼らの任務は、ミャンマー国軍(Tatmadawタツマダ)の一員として、2月1日の軍事クーデターに対する抗議行動を組織したと疑われる人々を逮捕すること。そこでThweさんは、武装して手錠をかけられた自分のいとこと対面したのである。

「ショックでした。子供の頃から一緒に過ごしてきたのに、突然、彼と戦い、彼を逮捕することになったのです。彼が自分の意見を表明したから、というそれだけの理由で。」と、元兵士Thweさんはフランス24に語った。「軍隊を辞めなければならないと思った瞬間でした。」

その夜、彼は兵舎に戻り、脱走計画を練り始め、それから5ヵ月後の現在、ミャンマーとタイの国境近くのジャングルに身を隠して暮らしている。

「人々を守るために軍に入ったのに」

国家統一政府(NUG)によると、ミン・アウン・フラインが主導した2月のクーデター以降、2,000人の兵士が軍から離脱し、野党に合流していると言う。

ヒューマン・ライツ・ウォッチ、アジア部門副部長フィル・ロバートソンは、フランス24に対し、「ミャンマーでは、今ほどTatmadawタツマダ(*ミャンマー国軍の公式名)が嫌われていることはない」と語った。毎年、軍隊のメンバーは生活や労働条件に不満を持って離反している。しかし、今回は道徳的な理由が加わっている。兵士たちはもう政権を支持したくないのだという。

離反者の多くは、内戦状態のミャンマーで自国の人々に武器を向けることを拒否することが動機となっている。地元の活動家グループ「政治犯のための支援行動」(AAPP)によると、2月以降、国軍によって1,300人の民間人が殺害された。国連委員会は、軍によって行われた「人道に対する罪または戦争犯罪に相当する可能性のある違反」の証拠を発見している。

「2015年、私はアウンサンスーチー氏が民主的に選出された選挙で、投票所の安全を守るための警備にあたっていました。それが2021年には、軍が彼女を守る人たちを撃っています。軍隊が人を殺すのは我慢できません」と、Kaung Htet Aungさん(*仮名)はFRANCE 24のインタビューに答えた。そして「私はミャンマーの人々を守るために軍に入隊したのであって、彼らと戦うためではない 」と付け加えた。

9年間の軍曹生活を経て、29歳のとき、彼もまた国軍を離れ、市民的不服従運動に参加した。それは大きなリスクを伴うものだった。「兵士には職を辞める権利はなく、一生の仕事です。脱走した場合、懲役刑以上の刑罰が科せられる。それから、愛する人への報復のリスクもあります。」

「終わらせるには武力しかない」

退役への道は、危険に満ちていた。5月6日、軍の基地を脱出したが、数時間後にはバイク乗車中に負傷し、捕まってしまったのだ。罰として3カ月間の軍事刑務所に入れられた。8月、政権は彼に2度目のチャンスを与え、以前の軍の仕事に戻ることを提案したが、彼は再び逃げ出した。

今回、彼は元軍人の組織であるPeople’s Soldiersに助けられた。People’s Soldiersは、脱走しようとしている人たちが脱走の手続きをするのを手伝っている。「刑務所から出てすぐに、SNSで彼らと連絡を取りました」と Aungさんは言う。「数週間後、逃亡を手助けしてもらえました。」

People’s SoldiersのスポークスマンはFRANCE 24に対し「すべてはSNS上で行われます。兵士やその愛する人たちが我々に連絡してきます。情報を確認したらすぐにバスのチケットを用意して、フリーゾーンに連れて行くのです」。フリーゾーンとは、国境付近の地域で、政権ではなく、武装した民族グループが管理している地域のことである。逃亡者が到着すると、People’s Soldiersは彼らの宿舎を探したり、基本的な生活用品を提供したりする。

「自由になれて本当にうれしい」と語るAungさん。仮設のシェルターを豪雨が襲っているにもかかわらず、笑顔でFRANCE 24の取材に応じてくれた。彼は今、軍隊で学んだ技術や知識を生かしてレジスタンスを支援しています。「私は国軍のために武器を作っていましたが、今はその軍と戦うための武器を作っています。民兵になったばかりの若い人たちに使い方を教えたりもしています。」最後に「これを終わらせるには武力しかない。」と付け加えた。

SNSを積極的に活用

People’s Soldiersの目的は実践的な支援だけではない。まだ国軍に所属している人々に転向を促すためのコミュニケーション・キャンペーンにも力を入れている。

毎週日曜日の午前10時には、NUGのメンバー、民主化運動の代表者、すでに脱走した元兵士などが登壇し、週ごとに異なるテーマのビデオ会議をSNSで配信している。こうした議論のほか、SNSにメッセージを流したり、軍人やその愛する人たちに直接メッセージを送ることもある。

「このプロパガンダは大きな役割を果たしています」とフィル・ロバートソンは言う。「脱走を考えている人たちを安心させるだけでなく、思い切って行動する後押しとなっています。」 また、NUGも9月以降、兵士に反国軍側への参加を呼びかけ、脱走した兵士の安全を約束している。

Thweさんの妹は、このようなメッセージを通じて、兵士本人ができなかった組織との連絡を取ることができた。「国軍はPeople’s Soldiersの存在を知っています。兵士がPeople’s Soldiersのメンバーと連絡を取るのを阻止するために、彼らは私たちの携帯電話を非常に注意深く監視しているのです」とThweさんは語る。「妹は、オンライン・ミーティングのおかげで、このグループの存在を知りました。妹は彼らにメッセージを送り、私がフリーゾーンに逃れるための情報を教えてくれました」と付け加えた。

現在、彼は将来の脱走者のために、ジャングルに家を建てて組織を支援している。「今はPeople’s Soldiersに寄せられた寄付金で生活しながら、毎日、竹を切って過ごしています。」

今は安全だと感じているものの、 Thweさんの望みは家族と一緒に暮らすことである。「私が逃げている間、家族は私を心配していました。でも今は、私が家族の心配をしています。私のせいで家族に危険に目にあうのが怖いのです。」

退職した兵士も復帰

国軍が35万人いることを考えれば、脱走率はまだ低い。しかし、退役した兵士はすべて、反国軍側の勝利として祝福されている。

フィル・ロバートソンは「まだ軍部を崩壊させるほどの規模にはなっていないが、国軍は自分の思い通りにするためには武力を行使するしか方法がないことを知っていて、兵士を従わせるために、脅迫と虐待をさらに行うでしょう。それでも脱走が起きれば反国軍の意識が高まり、脱走が続くと軍の指導力が低下する可能性があります。」

また、離反者が増えている兆候として、国軍の新メンバーの確保が困難になっていることが挙げられる。独立系ニュースサイトMyanmar NOWによると、複数の退役軍人や高級将校が召集され、拒否すれば年金が停止されると脅されているという。

別のビルマのニュースソースであるThe Irrawadyによると、ビルマ軍は軍人の子供に強制的な軍事訓練を導入し、事実上予備軍を作り、その過程で国際人道法を破っているという。

Thweさんは言います。「現政権は、自分たちの階級の中にも、もう自分たちを支持しない人たちがいることを理解する必要があります。国民に権力を返し、大規模な軍事改革を始めなければなりません。軍隊は、国民を守るという本来の目的に戻る必要があるのです。」

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