A turning point in Myanmar as army suffers big losses ミャンマー情勢の転機、敗北を期す国軍


A BBC article about what’s happening in Myanmar. It is quite long and complicated, which is exactly how the situation is.
ミャンマーで起きている戦闘について、BBCの記事を和訳と共にご紹介します。長く複雑な内容となりますが、それがまさに現状を表す言葉でもあります。

ミャンマー軍事政権が、数日のうちに中国との国境の大部分を失った。シャン州の3つの民族軍が、軍事政府に反対する他の武装グループの支援を受け、共同で攻撃し、数十の軍事基地を制圧、中国との陸上貿易の大部分を担う国境と道路を占領したのである。

2021年2月のクーデター以来、軍事政権が被った深刻な打撃である。およそ2年半に渡る戦いの後、軍は弱体化し、打ち負かされる可能性が出てきた。


軍事政府は空爆や砲撃で応戦し、何千人もの人々が家を離れることを余儀なくされている。しかし、増援部隊を投入することも、失った地盤を回復することもできずにいる。

そしてこの攻撃は、シャン州で活動する軍事政権反対勢力が、政権を打倒し民主的な統治を回復するために起こした初めての明確な軍事行動である。

それ以外の要因もある。これら3つの反政府勢力は、自分たちの領土を拡大したいという長年の野望を持っている。そして決定的なのは、通常ミャンマーとの国境沿いのすべてのグループに対して抑制的な影響力を持っている中国が、この作戦の進行を妨げていないことだ。


それはおそらく、シャン州に急増した詐欺センターに対する軍政の無策に苛立ちを感じているからだろう。何千人もの中国人やその他の外国人が、これらの詐欺センターで働かされている。反政府勢力は、その目的のひとつは詐欺センターを閉鎖することだと言っている。

This long exposure picture taken late on October 28, 2023 shows a missile fired from a Myanmar military base in Lashio township, northern Shan State. Heavy fighting between rebels and the Myanmar military stretched into a second day near the country's northern border with China, armed groups said on October 28, 2023
PhotoCredit@GETTY IMAGES
A rocket being fired amid heavy fighting in Shan State on 28 October

2021年、クーデターに反対する平和的な抗議行動が軍と警察によって暴力的に鎮圧されたとき、反対派の活動家たちは、政権に対する全国的な武装蜂起を呼びかけるしかないと決断した。


彼らの多くは、ミャンマーのタイ、中国、インドとの国境沿いの反政府民族が支配する地域に逃れた。

カレン族、カチン族、カレンニ族、チン族など、いくつかの民族の軍隊は、選挙で選ばれクーデターによって退陣させられた国民統一政府(NUG)と同盟することを決めたが、タイや中国と国境を接する巨大な無法地帯であるシャン州のさまざまなグループは、そうではない。

おそらく世界有数の違法麻薬の生産地として知られているシャン州は、最近ではカジノや詐欺センターで活況を呈している。

1948年のミャンマー独立以来、この地域は紛争と貧困に見舞われ、異なる軍閥や麻薬組織のボス、あるいは民族反逆者たちの領地に分断され、互いに、そして軍と戦ってきた。

Map showing territories held by various armies
Two rival insurgent forces claim to represent the Shan, the largest ethnic group, but in recent years four smaller ethnic groups have built up powerful armies. 

最大の民族グループであるシャン族を代表すると主張する2つの反政府勢力が対立しているが、近年は4つの小さな民族グループが強力な軍隊を築いている。

その中で最も強いのはワ族で、洗練された近代的な武器を持ち、中国の支援を受けた約2万人の軍隊を擁している。

そして、長い反乱の伝統を持つ中国系民族のコカン族、2009年の結成以来急速に軍隊を拡大している人里離れた丘の上の村に住むパラウン族(タアン族)、そしてミャンマーの反対側にあるラカイン州の出身であるラカイン族である。ラカイン人は実際にはミャンマーの反対側にあるラカイン州の出身だが、ミャンマー東部には多くの移住民がおり、現在のミャンマーで最も充実した装備を所有するアラカン軍の設立に貢献した。

ワ族は1989年にミャンマー軍と停戦に合意し、武力衝突を避けてきた。彼らは、ミャンマー軍と反体制派の対立においては中立であると言うが、他の地域の反軍抵抗勢力への多くの武器の供給源であると推測されている。


他の3つの民族軍(コカンMNDAA、タアンTNLA、アラカン軍)は、Brotherhood(同胞)同盟と呼ばれるものを結成している。彼らはいずれもクーデター以降、軍部と衝突を繰り返してきたが、NUGを支援するためではなく、常に自らの領土的利益をめぐっていた。

これら3つの反政府勢力は、ミャンマーの他の地域からの反体制派に対して、目立たぬよう避難場所や軍事訓練、一部の武器を提供してきた。

しかし、彼らは中国との国境に位置しているため、国境の安定と貿易の流れを維持するという中国の懸念も考慮しなければならない。中国はミャンマー政府を外交的に支援し、NUGとは距離を置いている。

Women holding banners, emergency flare sticks and fire sticks as they march during a demonstration against the military coup in Yangon on July 14, 2021.
PhotoCredit@GETTY IMAGES
The coup in 2021 drew massive protests that security forces crushed brutally

今年6月、中国からの圧力により、Brotherhood(同胞)同盟は軍との和平交渉に参加することに同意したが、これはすぐに決裂した。しかし依然として、内戦には関与していないように見えた。

ところが、10月27日に彼らが開始した作戦ですべてが変わった。

劇的な進展を遂げ、軍の全部隊が戦わずに降伏した。同盟軍によれば、100以上の軍事拠点と、国境付近のChinshwehaw、中国への主要な玄関口であるMuseへの道をまたぐ Hsenwiを含む4つの町を占領したという。

軍の援軍が来るのを防ぐために橋を爆破し、多くの詐欺センターがあるLaukkaingの町を包囲した。

Laukkaingには数千人の外国人が閉じ込められていると見られ、町に残された限られた食料を求める人々の列で混乱が拡大している。中国はすべての国民に対し、最寄りの国境を越えて避難するよう警告している。

Brotherhood(同胞)同盟は、NUGと同様、最終目標は軍事政権を転覆させることだと言っている。


陸軍と空軍の全力を相手に絶望的に不利な武力闘争を繰り広げてきたNUGは、同盟の成功を称賛し、闘争の新たな勢いについて語っている。

NUGを支持する人民防衛軍は、シャン反乱軍ほど武装しておらず、経験も豊富ではないが、軍の明らかな弱点に乗じてシャン州近郊で独自の攻撃を開始し、初めて国軍から地区の首都を奪取した。

MNDAA raises up its flag at Chinshwehaw
 PhotoCredit@THE KOKANG MEDIA
The MNDAA has released images showing its flag raised in the Laukkaing township

Brotherhood(同胞)同盟は、中国の軍政に対する忍耐にピリオドを打ったLaukkaingでの事件の直後という、絶妙なタイミングで攻撃を仕掛けた。

中国政府はこの1年間、軍事政権に対し、主に中国人シンジケートによって運営されている詐欺センターを閉鎖するよう圧力をかけてきた。詐欺センターは、そこに閉じ込められた人身売買被害者の残忍な扱いについて広く知られるようになり、北京の恥となったからだ。

中国の圧力は、詐欺に関与した疑いのある人々を中国の警察に引き渡すよう、ワ族のようなシャン族のグループの多くを説得した。8月から10月にかけて、4,000人以上が国境を越えて送られた。しかし、Laukkaing側は、自分たちのために年間数十億ドルを生み出してきたビジネスを止めることに難色を示した。


現地の情報筋がBBCに語ったところによると、10月20日、Laukkainに収容されていた数千人のうち何人かを解放しようとしたが、失敗に終わったという。

詐欺センターのために働いていた警備員たちが、脱出しようとした数人を殺害したと見られている。その結果、隣接する中国省の市政府から、責任者を裁くよう求める強い文言の抗議文が送られた。

Brotherhood同盟は好機と見て攻撃を仕掛け、中国を安心させるために詐欺センターを閉鎖すると約束した。中国は公に停戦を求めているが、同盟のスポークスマンによれば、中国政府から戦闘をやめるよう直接要請は受けていないという。

彼らの長期的な狙いは、軍事政権が崩壊する可能性を見越して、できる限りの地歩を固めることでもある。そうすれば、軍政が打倒された場合にNUGが約束した、ミャンマーの新たな連邦制構造に関する交渉において、最も有利な立場に立つことができる。

1,207 suspects, including 41 fugitives, were handed over from Northern Myanmar to China
PhotoCredit@THE KOKANG MEDIA 
Suspects involved in the scam centres were sent across the border to China

TNLAは長い間、憲法で割り当てられた小さなタアン自治区を超えて支配地域を拡大することを望んできた。

MNDAAは、2009年の軍事作戦で失ったLaukkaingと隣接する国境の支配権を取り戻したいと考えている。

そして、誰もがアラカン軍に注目している。アラカン軍は今のところ、シャン州での戦闘を支援しているだけだ。だがもしアラカン軍がラカイン州でも軍を攻撃することになれば、国軍はかなり苦しい立場になる。


TNLAのスポークスマンがBBCに語ったところによると、軍政との交渉にはもはや価値がない。選挙で選ばれた政府が地位を取り戻せば、彼らとの駆け引きは無効となるからだ。

タアン族、コカン族、そしてワ族は、新しい連邦制の中で、自分たちの民族の憲法上の承認を勝ち取るという目標を共有している。

これらのグループが現在の闘いに参加することで、ミャンマーの軍事政権に終止符を打つことにつながるかもしれない。しかし、シャン州の他のグループの利害と対立することになる彼らの願望は、ミャンマーの民主的な未来を描こうとする人々が直面する多くの課題の前兆である。

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